研究テーマを仮決めする
研究テーマを決めることは、一番最初に取り組むべきことですが、非常に難しいことです。
研究テーマを決めることができれば、研究の3分の1が終わったようなものと考えてもおかしくありません。それほど、何を研究するかは重要な部分です。研究論文をほとんど書いたことのない学生が自ら研究テーマを決めることは本当に難しい作業で、悩んで当然です。
しかしながら、研究室を選ぶ際には、自分が取り組みたい研究テーマをある程度理解(想像?)しておく必要があります。また、当環境システム学専攻では、入試において修士で実施したい研究の研究計画についての発表が求められます。
つまり、配属先を決めるためにも、あなたはなんとかして、自らの研究テーマの候補を考え出さなければなりません。
それでは、どのように研究テーマを考え出すか考えてみましょう。
まずは、興味のある環境問題や環境政策、研究課題の「キーワード」を考えて、探してみてください。このとき、マスメディアの情報も重要ですが、それだけではニュース性のある『トピック』しか見つけることができませんし、これから重要となっていく研究としての『問い』を見つけることができません。
研究は「いままでわからなかったことを明らかにする」ことですから、世の中よりも一歩先を考えて見ておかなくてはなりません。そこで、関連する学術雑誌を(論文等の記事の中身ではなく、論文タイトルやキーワードを)ざっと見ておいたり、我々指導教員が過去に手がけた研究論文を概観するのもよいでしょう(メンバーのページにおける「詳しくはこちら」をご覧ください。研究成果のリストなどがあります)。そのなかで、何か気になったもの、そこにあなたの関心があるはずです。
学生が非常に壮大な研究テーマを提案してくることもありますが、学生である期間も限られているため、「リサイクルの研究をしたい」「気候変動の研究をしたい」よりも、できるだけ具体化して考えることを勧めています。もちろん、研究テーマは、配属後、議論をしながらブラッシュアップしていくので、その点はご心配なく。まずは、自分の興味が沸く研究の具体的なキーワードを見つけておいてください。
今年度から本連携講座では、重点研究テーマを設定しました。下記テーマがそれらの一覧です。このなかかから自分のやりたいことに近い研究テーマを選んでいただいても構いません。配属後、教員と議論して研究で何を明らかにしたいかという「研究の問い」を深めていければと思います。
重点研究テーマ一覧
課題名 | 概要 |
---|---|
気候変動と連動した社会変動を考慮した適応に関する理論及び方法論に関する研究(指導教員:肱岡靖明) | 気候変動のみならずそれに連動した社会変動を考慮した適応に関する理論的・方法論的側面を明らかにする研究を行います。 a) 気候変動影響と適応プロセスの解明:過去の膨大なデータと様々な理論に基づき,気候変動要因と社会・経済的要因を分離した影響の検出と原因特定に関する研究 b) 多層的適応戦略の開発:多分野間の気候変動影響と適応策の効果を統合的に評価する方法論の開発に関する研究 c) 適応実践のための理論構築:適応を様々な主体(自治体,企業,個人など)から捉え,適応策の展開を支える理論と方法論の基礎に関する研究 |
産業や都市の低炭素化・脱炭素化に向けた資源循環、エネルギーシステム(指導教員:藤井実) | 循環資源や再生可能資源の高効率な利用を通じて、産業団地や都市の低炭素化、脱炭素化に貢献する技術システムや制度の検討を行います。システムの効率化には、情報技術の活用も有効と考えられます。これらを対象に、国内外の産官学の関係者と協働して、計画作成、評価や検証、政策提言などを行います。 |
持続可能な資源利用に向けた物質フロー・サプライチェーンの構造および動態の解析(指導教員:中島謙一) | 主に金属資源を対象として、(a)物質フロー・サプライチェーンの動態分析、(b)サプライチェーンを通じた資源利用および内在するリスク要因(含む環境問題、社会問題)の把握と解析、(c)素材技術や需給構造等の変化を想定したシナリオに対応した社会像の定量化等を踏まえて、持続可能な資源利用および資源管理への知見を引き出す研究。 (スキル:モデル開発と分析、Matlabを用いたプログラミングと演算) |