我々の生活を支える様々な工業プロセスにおいて、地球、地域、現場、それぞれのレベルで環境に優しいプロセスであることがこれまで以上に求められている。本分野では、環境調和型の化学合成プロセスや廃棄物処理プロセスの構築を目指し、要素技術の開発やプロセスの提案、それらの評価に取り組んでいる。
特に、超臨界流体に代表される高温高圧流体の工学的利用に着目し、研究を進めている。高温高圧流体は、常温常圧の物質とは異なる物性を示し、また温度と圧力を操作することで物性の調節が可能という特徴を有しており、例えば高温高圧水は有機物がよく溶解する一方で無機物が不溶であるという特徴や、温度・圧力に応じて溶媒の極性やイオン性が調節可能という特徴を持つ。複雑化する化学反応場への要求に対し、毒性が小さく安価な物質で目的の物性を実現し得る高温高圧流体は、環境調和型プロセスにおいて重要な役割を果たすと期待され、高温高圧流体中の化学反応に関する基礎から応用技術まで、総合的に検討を進めている。また高温高圧流体は化学反応の媒体として注目されるだけでなく、自然界の高温高圧環境での現象やエネルギー関連技術等とも深い関わりを持っており、これら諸分野を融合させた高温高圧流体の科学の構築を目指して研究を行っている。