我々の生活は化学物質を合成した化学品によって支えられている。研究では化学品を高効率、高品質で製造し、かつ高安全性を有する化学プロセス最適化を目的として各種実験や計算に取り組んでいる。化学プロセスが設計した運転条件からどのようにズレを引き起こし火災や爆発等の災害に伝播していくのか、段階的に進展していく異常反応や熱暴走現象を分析し、現象理解に基づいた安全対策の立案や高度システム化をめざしている。現在までの具体的な研究内容は下記のとおりである。 1. 反応性化学物質アクリル酸(AA)に対する熱分析、液体クロマトグラフィーを用いた、発熱反応の実測に基づくkineticsの定量化 (文献1) 2. AAの重合反応による熱暴走現象を小規模実験での実測、および発生ガス分析を用いた放出される化学物質の特定とフィジカルリスクシナリオ評価(文献2) 3. AA異常反応生成物の蓄積により災害において放出される化学物質の高度発生ガス同時分析による特定と反応機構の解明(文献3) 4. 高感度熱量計を用いた、広範な温度条件で実現象を再現するAA異常反応のkineticsの定式化 (文献4) [文献] 1) M. Fujita, Y. Iizuka, A. Miyake, Thermal and kinetic analyses on Michael addition reaction of acrylic acid. Journal of Thermal Analysis and Calorimetry, 128, 1227-1233 (2017). 2) M. Fujita, Y. Izato, Y. Iizuka, A. Miyake, Thermal hazard evaluation of runaway polymerization of acrylic acid, Process Safety and Environmental Protection, 129, 339-347 (2019). 3) M. Fujita, Y. Izato, A. Miyake, Thermal and evolved gas analyses of Michael addition oligomers of acrylic acid. Journal of Thermal Analysis and Calorimetry (2021) Online published. 4) M. Fujita, Y. Izato, A. Miyake, Kinetics analysis of spontaneous thermal polymerization of acrylic acid, Journal of Thermal Analysis and Calorimetry 144, 553-562 (2021). |