私たちはさまざま環境や状況で放射線に遭遇しています。「太古から存在する自然の放射線」、「より良い人間活動や生活環境を求めて医療分野や産業分野等で便利に利用してきた人工の放射線や放射性物質」、「その結果として発生する放射性廃棄物」、「東電・福島第一原発事故で、拡散した放射性物質によって汚染された広大な環境」等々。そのような状況のなか、私たちは空港の荷物検査や病院での診療診断で放射線の便利さを享受している一方で、ときに、放射線被ばくの話題を耳にし、その影響やリスクに不安をいだくこともあります。 「放射線」の環境はヒト・社会を含む環境システム全体に話題が展開する典型的な事例のひとつです。環境安全マネジメント学では「放射線(能)」「放射線防護」をキーワードとし、すべての放射線環境に関する安全やリスクマネジメント上の課題を自然科学研究と社会科学研究の両軸から追及していきます。具体的には、
① 放射線計測法や線量評価の手法の開発研究 ② 放射線利用や放射性廃棄物の安全対策には欠かせない管理学的な研究 ③ 身のまわりに存在する比較的高いレベルの自然放射能に関する安全研究 ④ ヒト以外の生物種を対象とした環境放射線防護や環境アセスメントに関する研究 ⑤ リスクマネジメントやリスクコミュニケーションに関する研究 等
の内容について、国際原子力機関(IAEA)、国連科学委員会(UNSCEAR)、国際放射線防護委員会(ICRP)等の国際動向や、我が国における規制科学上の論点やニーズに基づくタイムリーなテーマを選定します。
[文献] 1) T. Iimoto, J. Nunokawa, H. Fujii, R. Takashima, M. Hashimoto, T. Fukuhara, T. Yajima, H. Matsuzawa, K. Kurosawa, Y. Yanagawa, and S. Someya; Collaboration of local Government and Experts Responding to Increase of Environmental Radiation level Due to The Nuclear Disaster – Focusing on Their Activities and Latest Radiological Discussion; Radiation Protection Dosimetry (2015), pp.1-7; Advance Access published May 16, 2015; ID: ncv279 (2015) 2)Takeshi IIMOTO, Eriko HAYASHI, Keiji KIMURA, Takahiko SUZUKI, Asaya KOBASHI and Satoru TANAKA; Optimized Safety Management for X Ray Irradiators with Various Levels of Potential Exposure Risk Used for Researches; Radiation Emergency Medicine Vol. 3, No. 1, 45-49 (2014) 3) 飯本武志;ウラン、トリウムを含む物質の特徴と安全管理上の留意点;環境と安全;4(3), 1-8 (2013) 4) T. Iimoto and T. Kosako; Discussion on Framework of Radon Management Strategy in Various Environment; Radiation Protection Dosimetry; 146, No. 1-3, 217-220 (2011) 5) T. Iimoto, Y. Akasaka, Y. Koike, and T. Kosako; Development of a Technique for the Measurement of the Radon Exhalation Rate Using an Activated Charcoal Collector; Journal of Environmental Radioactivity, 99(4), 587-595(2008) 6) T. Iimoto, K. Kawashima and T. Kosako; Using an Imaging Plate to Measure the Concentration of Radon Progeny in Air; RADIOISOTOPES, 53, 9, 461-468 (2004) |